医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その90

肝血管肉腫、なんてあまり聞かない病名。その日も抗がん剤治療をしてから退院してきたが、けろっとしている。「車に酔ったか、昨夜あまり眠れなかったせいか、わかんないけど私ボーッとしてる、ゴメンね。」舌を出して可愛らしく笑う47歳、女子中学生のお母さん。

24歳の時から肺動脈性肺高血圧症を発症し、在宅酸素を流用している。肺にも肝臓にもたくさんの血管腫があって、悪性化してかなり大きくなっている部位はいつ破裂するかわからない。1度は肝臓の表面から破裂して生死をさまよったこともある。

いつもは、特に痛いところもなくて、元気だ。白血球が減少して抗がん剤が打てなかった時はしょげているが、基本元気だ。時々足が浮腫んだり、全身倦怠感に悩まされ、「ずっと寝てしまう」と嘆き、毎回「夜中に鼻血が出た」とか「左指先の感覚が変」とか、細かいことまで報告してくれるが、私達は傾聴しかする事がないくらい、元気だ。ちゃんと家事だってしてる。酸素のチューブを台所まで延ばして、してる。

時々「お腹が痛い」というようになった。貧血、黄疸、浮腫み、息切れなど出現し、少しずつ生活を脅かすようになった。ある日、ベッド横で倒れていた。宅配便の人が見つけて知らせてくれた。顔面蒼白、すぐ救急搬送となった。大出血は止まらなかった。彼女はそのまま帰らぬ人となってしまった。