岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス
心臓が悪くて通院していた病院で、肺がんが見つかった。冠動脈バイパス術を受けその創がようやく癒えた頃、息苦しさの精査の結果、肺がん末期状態と診断された。
81歳の彼は一人暮らしだった。でも、その敷地内に妹様夫婦と息子様3人がお住まいだった。「いつも誰かが泊りに来てるから、一人にすることないよ。」ヘルパーさんの利用もなかった。
どこも痛くない、一人で歩ける、食べられる、うちは家での療養は難しくないが、やはり病状が進むにつれ寝込んで過ごすことが多くなっていった。せっかく楽しんで行っていたデイケアも休みがちになり、見守らないといけない時間が増えると入院した方がいいのかと意見も出た。入院してしまえば、病状の進行を目の当たりにしなくて済むけど、最期の辛い時間、一人ぼっちにしてしまうよ。それでいいの?
「一人暮らしなんかしたことない」と言い切る、彼にとって妹様家族はご自分の家族だった。必要性を説明し、しぶしぶ受けてくれた点滴でちょっと元気になって食べれるようになった時、いっぱい話してくださった。その日も、一緒に夕食を摂ってから自分の家に一人で戻ったあと様子を見に来てくれた甥っ子さんが、呼吸がおかしいことに気付いた。妹様が「このまま見守ります」と決心してくれて、家でのお看取りが出来た。家族みんなが見守る中での、静かなご逝去だった。