医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その64令和2年6月18日

「私もこんな風に、人生の幕引きしたいわー」とまだ始まったばかり、看護師とともに初めてお部屋を訪ねた時に娘様が言った。84歳の実父には、自分の理想的な最期を迎えて欲しいという。痛みなくしんどくなく、余計なことはせず、だけど管理はしてもらって、家族の傍らで死を迎える‥‥。人生の最後にある死を「日常の一コマとして」見送りたい私に賛同してくれて、在宅ホスピスを申し込まれたらしい。

娘二人とも嫁いでいれば、療養の場はサービス付き高齢者向け住宅になる。彼は少し認知症が進んでいて、意思の疎通を図りにくかった。お腹が痛いと言いすぐ受診したが、肝転移もある根治不可能な膵臓がんだった。その後ずっと腹痛は彼を苦しめ続けていた。鎮痛薬の量が不十分だったのだろう。初回訪問で打ったモルヒネの筋注はよく効いた。しかめっ面がほわ-と解けて笑顔になった。その時の表情を見て、娘様が言ったのだ。

しかし、がん性疼痛はなかなか手強い。突発痛をゼロにすることは困難だった。言葉で痛いと訴える代わりに、うめき声や荒っぽい行動に出るので、施設のスタッフは困っていた。薬の調整をまめに続けた。頻回に訪問した。穏やかの表情が増えたが、夜中に痛がって起きてしまうので、最後は鎮静剤で眠って過ごしてもらった。

「息していません」とスタッフから連絡をもらった時も、誰もが慌てず、納得していた。外していた義歯を入れると、にんまり笑っているように見えた。これでOKと言ってくれてるように思えた。