医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その63令和2年5月16日

夫を在宅ホスピスの末に自宅で見送った彼女は、自分ががんになった時も、私達を要請してくれた。「貴女は主人の時はお腹大きかった看護師さんね。」こんな形なのに再会を喜んでくれる彼女は、凛としていて、凄く格好良かった。1年前、黄疸に気付き、膵がんが見つかった。既に血管を巻き込んで大きくなっていて手術は出来なかった。抗がん剤頑張ったのに、肺や腹膜に広がっていった。

「娘や孫に迷惑かけたくないけど、自分がまだ動ける間は最期の時間を自分らしく生きたい」のだと、恥ずかしそうに「お世話になります」と仰った。胸水を抜いて楽になっていて笑顔で話が出来た。痛みが出た時、息苦しくなった時、色々想定して対処を相談していると「つまりは、すぐに連絡する事ね!」と笑ってた。

導入時から「もう時間は残されていない」と思っていた。好きな物食べても吐いてしまって、下血も止まらなくて、きっと痛いしんどいはあるだろうに、訪問する度、私に向き合おうとして身体を起こしてくれた。「ありがとう、今幸せ」、亡くなった後の事も全て「自分で準備出来た、幸せ」と言ってくれた。

8日目の夜「ぐっすり眠りたい」と希望された。点滴したらこのまま起きないかもしれないよ、と説明した。翌朝、一旦目覚めたものの、まるで二度寝するかのように、静かに永遠の眠りに入った。それは土曜日の朝で、仕事している娘様の都合まで、彼女は織り込み済みだったんだろうか…と考えてしまった。