医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その41平成28年12月13日

4年前、当クリニックに通院しているおしゃべりな小母ちゃまが「あそこは痛みを取ってくれる」とあちこちで宣伝して、彼はそれを聞いて素直に「足が痛い」からと受診にやってきた。幸い、数回の硬膜外ブロックで治ってしまって、彼は新たな広告塔となった。

それから3年経って、86歳になった彼はがんの末期だと紹介されてきた。紹介は、自ら希望したという。腸間膜腫瘍という珍しいタイプのがんだった。他の消化器系がんのように、腹水や便秘、肝転移による肝不全で苦しんでいた。十分に食べられなくて、痩せていた。お腹が張って、少し痛みもあった。

明るい彼は、「死ぬまで元気にさせといて」と言った。しばらくは外来通院させてと言った。1ヶ月半、毎週外来で、薬調整と点滴で頑張ったけれど、ついに歩けなくなって在宅ホスピス開始となった。案の定、家では入浴も出来ず、排泄も不安定だった。すぐ介護保険の認定申請をして、訪問看護、訪問入浴を開始した。

子供さんも孫さんも、みんな男性。それぞれの奥様も含め、皆からすごく大事にされていて、至れり尽くせりされていた。彼はいつも笑顔だった。日曜日の夜、呼吸が止まった。皆にお別れの挨拶をしたその日、皆の揃ってる目の前で、呼吸が止まった。

死後処置を皆に手伝ってもらいながら行った。髭剃りのあとのシェービングローションも、お尻の清拭の後の軟膏も、「いつも通りに塗らせて下さい」と息子さん。人の良い性格は、みーんなが受け継いでくれてるよ。悲しいけれど、心温まる、お別れだった。