医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その55令和元年10月25日

70歳の彼女は、訪問診療の良き理解者だ。15年前お父様を見送り、3年前お母様を見送った。自宅で療養し、そのまま最期を迎えた両親が、とても安らかで幸せだった事をよく知っている。

自分に胃がんが見つかったとき、まだお母様の介護中だった。女二人で気ままに、素敵に、きちんと生活していた。96歳のお母様は、日常のあらゆる事に手助けが必要だったが、彼女はそれを楽しむかのようにやっていた。健康の管理のために食事には全く手を抜かず、「身体に良い」と聞いたものは何でも取り入れていた。がんになってからも、丸山ワクチンや栄養剤など、試せるものは何でも使った。

お母様が逝ってひとりになると、更に自分がしたいことだけをするようになった。彼女は喫茶店メニューが好きで、お昼は喫茶店巡り。一緒にランチにも行った。

自分だけで動くのが大変になった頃、息子さんが同居してくれた。病状の急変を知らせてくれる人がいるなら、このまま家で死ねる。気丈な彼女は、死んだあとのことも全て準備して、在宅死を選んだ。

アイスの実や氷をねだる。息子さんは、一晩中彼女の口に入れ続けていたそうな。その後、容態が悪化の一途をたどった。満足したんだよね。今頃は空の上で、ご両親と談笑してるかな。