医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その67令和2年10月3日

まだ68歳。畑仕事が好きで、日に焼けて精悍な笑顔からは、胃がんと闘病中とは想像もつかない。手術で取ってしまった胃の吻合部が狭くなってしまったから、また腹膜全体にがんがばらまかれて腸管の動きが悪くなってしまったから、食事がうまく摂れなくなっていた。中心静脈にカテーテルを入れて、高いカロリーの輸液を入れる。本来なら24時間続けるが、彼は夜間ベッド上にいる時だけつなぐ方法を希望した。

日中、したい事をして過ごす。好きなものだけ食べる。犬の散歩、庭仕事。腕をよく使うため、汗かくため、高カロリー輸液の刺入部が感染してしまった。結局、入れ換えのために入院、すぐ帰って来れたけど。

腹水が貯まるようになった。抜いても抜いても増える。抜く度に栄養も一緒に捨てられ、弱る。突然痛みが襲うようになった。動けなくて踞っている。モルヒネを打つとすーっと治まる。「モルヒネなんか大丈夫?」と怖がる。何言ってんの、こんなくらいで廃人にならないよ、むやみに我慢してる方が人格崩壊しちゃう!、ほら、その難しい顔。

「オレらしく生き抜くんや。」弱音も吐かず、らしかったよ。状態が悪化してたった1日で、みんなにちゃんと挨拶までして、潔く逝ってしまったんだから。