医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

甘えん坊平成23年7月4日

amaenbou

ちょっぴり年上の妻が、「面倒看てもらおう思うて、若い子選んだのに…」と寂しそうに笑って言った。2年前、狭心症と糖尿病を指摘された彼は、その治療中に胆石症になり、精査しているうちに胆管癌が判明した。標準で用いる抗癌剤は使い切ってしまい、ここ1ヶ月は自宅で療養していた。何度も命の危機はやってきたが、64歳という若さと、上背のある大きな体格が、難を救った。

うちのクリニックに紹介されてきた頃には、胆管の炎症が肝にもおよび、肝炎が強くなっていた。身体が痒くて、イライラしていた。食べられなくて、痩せていってた。まずは、肝庇護剤の投与や点滴の対症療法で、痒みは治まった。が、痛みが出てきた。麻薬性鎮痛剤を上手に使ったら痛みは治まったが、吐き気が出てきた。薬で吐き気が治まったら、身体が黄色くなってきて、あちこち出血するようになってきた。「何でこんなん繰り返すんやろ…。」病気の進行に一喜一憂しながら、でも、彼は家で過ごす日常を喜んでいた。

「お風呂に入って、背中流してもろた。」「二人で入ったん?」「いつものこっちゃ。」言いながら照れてる。「かやくご飯食べたかったんや。」「買うてきたのに、食べへんねん。」「後で食べるよぉ。」甘えた声で会話してる。顔、緩みすぎ。

たった5週間だった。でも、しっかり闘病して、大好きな人の傍で亡くなった。