医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

愛すくりーむ平成24年7月16日

icecream

「わけわからん薬なんか飲めるか。」一包化した薬を用意した時に、73歳の彼は屈辱的に思ったのかもしれません。食道癌の術後再発で、まず食事摂取が困難になっていました。食事もろくに通らないのに、痛み止めや下剤を飲むのは大変です。食事が不規則だとさらに適当に飲むようになるため、病状も良かったり悪かったりします。浮腫や痛みを抑えてくれる最小限の薬を、彼が納得して定期的に飲んでくれるまで、約2週間かかりました。

看護体制も介護体制も整い、気難しい彼にも笑顔がチラホラ見え始めた頃、暑い夏がやってきました。食道切除術後に残してあった気管切開孔からは、痰の喀出はずっとあって、吸入吸引は毎日不可欠でした。痰が少し粘っこくなると、「脱水や、点滴して。水分摂れてないから。」と自分の病状と向き合う姿は、健気でした。

奥様と掛け合い漫才のように交わす会話は、お二人の仲の良さの現れでした。介護ベッドを嫌がり、ダブルベッドのままで療養したのも、夜2人で休みたかったからかしら。口当たりが良くて高カロリーだからと、アイスクリームを好んで召し上がりました。最期の日、娘様の手から、アイスクリームを口に運んでもらったと聞きました。きっと甘くて美味しかったでしょうね。