医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その23平成27年3月19日

75歳の彼は、かなりのヘビースモーカーだった。自分の体力や健康にも自信があって、健康診断も含め、医療機関にかかったことがなかったと言う。それが「2ヶ月程前から、ちょっとした動作でも息が切れる」ので、病院を受診した。肺気腫合併肺線維症という診断がついた。投薬もすぐ開始されたが、なかなか症状は緩和されず、その上、精査にて肺癌の疑いありとされた。さらなる詳しい検査には苦痛も伴い、体力的にも難しくなり、断念。残りの時間を自分らしく過ごしたいと、当クリニックに紹介されてきた。

初回訪問時から、彼はとにかく息切れと闘っていた。酸素を流用しながらでも、ベッドから身体を起こすのさえ、血中酸素飽和度は低下した。息を整えながらトイレ歩行し排便し、息を整えながら少しずつ食事をし、息を整えながら清拭、着がえをした。看護師以外では動くタイミングがうまく合わせられず、日常生活自体が大変だった。

訪問診療始まって1週間、ようやく病状が少し安定してきた。夜間だけでもしっかり眠れるようになった。「楽に死なせてくれ」と口に出来るくらい覚悟が出来た頃、呼吸苦があまりに辛く鎮静剤で眠らせて欲しいと希望された。1日眠り続けて、導入してからたった2週間で死を迎えた。