岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス
大人しい人でした。精神疾患があって、多発性骨髄腫というやっかいな病気にもなって、いよいよ最期の時を迎えていました。「人に嫌がられる心の病気持ってて、この人生きにくかったと思うわ」と、娘様が話してくれました。彼女の84年の人生には、それでも3人の子供さんを授かって育てたこと、夫と伴に80年を超える長生きが出来たこと、食いしん坊で好きなものがいっぱいあること、などが彩っていると。そして自慢の母であると。彼女も、死への覚悟は出来ていて、好きな物を好きなだけ食べたい、孫達と過ごしたいという意志ははっきりしていました。
帰ってきた日は比較的お元気でした。しかし、腎も肝もかなり機能低下しており、予断の許さない状態でした。帰ってきて3日目。オシッコも出なくなってベッドで寝ている時間が長くなりました。点滴は要らない、と頑なに娘様は拒みましたが、「点滴はあくまで、今脱水に陥って辛い体を助けるため、延命ではない」と話すと受け入れてくれました。
点滴し、訪問入浴で身体をキレイにしてもらうと、自分からリビングまで起き出し、次々とくる訪問客、子供や孫達と談笑出来ました。何処にそんな力が?!と、家族は驚き、喜び、最期の時間と覚悟し、泣き笑いの時間を過ごしました。その日の夕方でした。静かな豊かなお最期でした。