医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その57令和元年11月18日

その精悍な顔付きは、奥様を叱るととても怖いのに、私達にはほわ~とはにかんで笑うから緩む。64歳、脳腫瘍。身体は元気なのに、時々不可解な事を言い、無茶な行動をする。

孫達が「じぃじ~」と呼ぶと更に、頬が緩む。同居ではないが、よく遊びに来てくれる。食事はあまりガツガツ食べられないが、美味しいものを楽しめる。近所の友人も気軽に顔出してくれる。在宅療養の良いところ。もちろん、何かあったらすぐ私達が駆けつける体制がある上で、の話だけど。

病気が進行し、意識が落ちて、眠ってばかりいるようになった。私が「遠くの親戚にも会わせてあげて」と言うと、遠方からも見舞客がやって来る。在宅診療を知らない人が「こんな状態で家に置いといて良いの?!」と、勝手な事を言う。もうさんざん抗がん剤は打ったんです。手術も放射線療法も受けたんです。でも現代医学で取り切れなかった。自分らしく、人生を全うしようとしているんです。なのに、病院に閉じ込めるの?

長女さんはよくわかっていた。奥様は迷っていた。いっそ病院に入れたら、自分も本人も楽で安心なのだろうかと。タイミングを逸したまま、最期の時は来た。

亡くなってから2週間後、お参りした。ベッドも何もなくなった部屋で、奥様は語ってくれた。「家で看取って良かった」「私精一杯出来たから良かった」「ずっと傍にいられたから良かった」と。誇らしげで、私達の心も温まった。