医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その40平成28年10月24日

約5年前、「胃癌の手術後3ヶ月です。口内炎が出来て、身体がしんどくて、抗がん剤が飲めないんです。」と、外来に飛び込んでこられた。手術した病院と連絡しながら、抗がん剤の調整をした。その後も何かあったら受診され、「首が痛い」「腰が痛い」を治療した。

2年前、「断端部に再発した!」「大腸癌にもなってしまった。」と相談にやってきた。大腸癌もきちんと標準治療を受けるように話したが、結局、切除術は根治術にはならなかった。術後も下痢が続き、不明熱を繰り返し、1年が過ぎた。十二指腸と胆管にステント留置したが、肝機能、腎機能が少しずつ低下し、体重は30kg台になった。救急搬送をされても、「病院で何もすることがない」と帰されてきた。そうしてまた、1年が過ぎた。

73歳の彼には、愛する内縁の妻がいた。残りの時間を一緒に家で過ごしたい。それならば、もう日常生活の全てに見守りと介助が必要なのだから、と訪問診療を勧めた。24時間、医療スタッフと連絡が取れる体制を心強く思ってくれた。実際、夜間の緊急Callで看護師も私もよく足を運んだ。毎週診察に来る私に、「先生、ありがとうな。」「来週にはもっと元気になってるから。」と笑った。

たった3週間だった。でも命が終わるその日まで、「来週には…」と会話が出来た。「ただ眠いだけやねん。」そう言って、彼は目を閉じた。