医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その39平成28年9月29日

彼女を一言で言えば、歳を取り忘れたお嬢様。茶目っ気があって、教養があって、ちいちゃくて上品で、同世代の方々からも憧れの的だった。10年前から外来に通っていて、そのお仲間も皆うちに通われるようになり、「ともに健康でいましょう」と、一緒にジムや体操教室に通っていた。

そんな彼女が3年前、急に体調を崩した。おしもから出血。検診では、高血圧以外何一つ異常がなかったのに。すぐ婦人科受診し、子宮頸がんと診断された。既に卵巣に転移していて、対症療法しかなかった。婦人科系のがんは、なかなか命は取らない。それから、2年間、放射線や経口抗がん剤を病院でしてもらいながら、うちの外来にも通院してくれた。

大きくなってきたがんがリンパ液の還流を妨げるせいで下半身が浮腫み、美しかった脚が像の足のようになった。歩行が困難になり、友達が皆で助けてくれても独居生活が厳しくなった。サービス付き高齢者向け住宅に入居し、そこから送迎サービスを使って通院していたが、やはり療養生活を支えるには訪問診療しかなかった。

毎日のように訪問客があり、家族も日参してくれて、安心して療養出来て、それなりに幸せな時間がまた過ごせていたように思っていた。けれど1年を過ぎた頃からは、思うようには動かない身体が苦痛の素だった。軽い認知症はあったが、病状はしっかり判っていて逆に辛い。「もう逝かせて下さい。」の一点張りだった。「寿命ってものがあってね…。寿命まで、らしく笑って生きようよ。」「判ってるんだけどね…。」繰り返ししたその会話が、今も忘れられない。