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DIARY

華燭の典平成23年1月9日

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27歳のご長男の結婚が決まり、式には参列したいと強く願った彼だったが、大腸癌が脊髄を冒し半身麻痺となった身体では無理かもしれないとも思っていた。

59歳という若さでの、もう5年にもわたる癌闘病生活は、ただでさえ彼を鬱状態にし向精神薬を手放せなくした。動かせもしない鉛のように重い両下肢はずしりと浮腫んでいて、上半身だけだとまるで元気に見える彼の行動を制限した。「絶対行こう!私も花嫁さんに会いたい!」結婚式は2ヶ月先だった。しかも、神戸。

全身状態を良くするために、まずは食事量のキープ、しっかり排便。浮腫をとるために、体位の工夫、毎日理学療法士か看護師か奥様によるリハビリ。生活リズムを作るために、痛みを取るため不可欠な麻薬による睡魔や吐き気との闘い。とにかく、彼は頑張った。

胸の途中から下が全く動かないのだから、長く座っているのも辛かったろう。肝転移が肝機能を低下させ身体を黄色く染め始めていたのだから、長い車旅もしんどかったろう。でも、ちゃんと紋付き袴を着て、髪を整えて、結婚式と披露宴の始めの10分だけ、出席できた。ずっと笑顔で、父親やってた。

ありがとう、出席させてくれて。ありがとう、今日まで生きててくれて。挙式から20日目、たくさんのありがとうが飛び交うビデオの傍らで、彼は死を迎えた。「痒い」、「しんどい」と、いつもの悪態をつきながら、前日まで好きな物を食べて、入浴が出来た。生きる力見せてくれて、私たちの方こそ、「ありがとう」。