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DIARY

マイホーム平成24年4月26日

myhome

最初に会ったときから、84歳の彼女には両足がありませんでした。動脈硬化による血管障害で切断に至ったそうです。さらに高血圧や糖尿病などの内科疾患もたくさんあって、山のように薬を飲んでいました。乳がんで左乳房も切除されて、ありませんでした。

その頃は珍しかった有料老人ホームでの療養生活は、足のない彼女にとっては、排泄一つとってもスタッフを呼ばなければいけないストレスがありました。それでも、明るく快活な彼女は、多趣味で、デイケアにも積極的に参加し、簡単なお手伝いをしていました。毛糸で様々な物を作っては人にあげていました。ほこり取りや食器洗いスポンジはカラフルで、置いてあるだけで元気をもらえました。

有料老人ホームは「家」と見なされ、十分に在宅診療はできました。しかし、彼女は病状が重いことが多く、喘息重積発作、狭心症発作、大腿骨骨幹部骨折、大量下血。いずれも命に関わる重症で、在宅では手に負えず、入院を余儀なくされました。それでも、病状が回復するや否や、大好きなホームに退院していらっしゃいました。進行性大腸癌の時も。

最期の方は、下血などの派手な症状こそなかったものの、腸閉塞や癌性疼痛はありました。モルヒネの筋注のあと、いつも「楽になったわ。ありがとう。」スタッフが勤務終了時に様子を見に行くと「気を付けて帰りや。」見守られながら88歳で穏やかに目を閉じたその日まで、スタッフの皆が、彼女の家族でした。