医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

大往生平成24年2月7日

daioujyou

事の始まりは、「背部痛」だった。「86歳女性。背中から腰の痛みのため、ここ1ヶ月食事も出来ていません。硬膜外ブロックで痛みの緩和をお願いします。」と、近くの内科医から紹介されてきた。「4ヶ月ほど前整形外科で『脊椎に占拠病変なし』と診断」と書いてあった。それから真面目に3ヶ月、硬膜外ブロックなどしながら痛みの緩和に努めた。が、痛みは治まらない。もう一度精査をと思い、脊髄のMRI検査を勧めたところ、それが初めての検査だと判った。行き違いで、何も調べてもらっていなかったのだ。

最悪の予想通り、脊髄腫瘍だった。その頃にはもう、下肢に力が入りにくくなっていた。大学病院で専門医の意見を聞いたが、麻痺が進行している段階で切除術について勧められることはなかった。

息子さんが、単身で彼女の家に住み込んで世話をすると言い出した。下半身は鉛のように重く動かなくなっていたし、既に臀部に褥瘡も出来ていたし、ひとりで、ましてやオムツひとつ替えたことがない彼に、介護が出来るのだろうかと不安だった。しかし、彼には“母親は自分が看る”という確固たる信念があった。看護師やヘルパーさんと絶妙なバランスを保ちながら、在宅療養を支えていった。上品な明るい彼女の性格も幸いした。2年3ヶ月という長い月日の中には、認知症の進行や介護され中に受けてしまった傷の悪化や痙攣発作など、いろんな事があった。何度か入院もしながら、結局在宅に戻ってきた。

やがて、少しずつ食事量が減っていき、食べると咽せることが多くなった。消えるように静かに永眠された。老衰だろうか、癌死だろうか、大往生に変わりはあるまい。