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DIARY

不器用な父娘(おやこ)平成23年9月5日

bukiyounaoyako

前立腺癌は、命に関係のないところばかりやられます。尿道カテーテルを留置すれば、オシッコも難なく出せるし、転移した肺や骨の病巣も症状を呈しないことが多いのです。彼も85歳ながら、見た目にはとても元気でした。気分屋で日によって言うことが変わる性格に、認知機能低下という拍車がかかり、それはそれは勝手にしていました。自分で出来ていた身の回りのことは、たちまち娘さんにおんぶに抱っこ。それがまた、娘さんも思いきり気分屋で、ケアマネはじめみんなが振り回されました。

便秘下痢や嘔吐の始末をする度に、オシッコが漏れて寝具が汚れる度に、転倒して自分で起きあがれないようなことがある度に、「もう、よう看らん!」と言って、施設の申し込みをするのです。なのに、入所の連絡があっても断ってしまうのです。あちこちの医院、病院を受診しては飲みもしない薬をもらって来て、文句を言うのです。良くならないと嘆くのです。

心の底では看てやりたいと思っているのでしょう。最後には「やっぱり、先生診たって。」と。「文句言いっこなし。覚悟決めて頑張ってもらうで。」彼も娘さんも、ちょっと不器用なだけなんです。方針決めて先が見通せれば、頑張れるんです。それから3ヶ月、入院中絶食を強いられていた彼は、好きなものをたくさん食べて、笑って過ごしました。お腹が動かないので、浣腸の日々でしたが。

最期は、誤嚥でした。「家帰ってきて、よう食べたよ。泣かんでもええよ。」と、真っ直ぐに私を見て「ありがとう。」と笑った彼女が、今も目に浮かんできます。