医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

願い平成23年10月29日

negai

子宮肉腫は、診断が付きにくかった。3年前、体調が優れず内科受診したが異常はないと言われた。それでも不調が続き、PET検査で子宮にしこりがあることが判った。でも、悪性だとは判らず、婦人科で治療は保留になった。1年半前、ようやく子宮肉腫根治術が行われた。術後、遠隔転移はなしということで、一旦は仕事復帰もできた。

明るくて美しい彼女を、旦那様はとても愛していた。子供はなかったから余計に、二人で人生を楽しんでいた。術後のフォロー検査は真面目に受けていた。3か月後異常なしで安心したその矢先、咳が出始め、6か月後の検査で肺転移が見つかった。切除を希望したが、主治医は反対した。切除してくれる病院を探し、某大学附属病院で切れるところは全部切ってもらった。執念だった。

「家で療養したい」と当クリニックに紹介されてきた時は、少し医療不信になっていた。完治は望めなくても、抗癌剤は続けられていた。食べられず、水さえも吐いてしまう状態だった。“根治できない”のなら、抗癌剤で身体を痛めつけることにどれだけの意味があるのだろう。「自分はモルモットみたい」と泣いていた。でも「未来の治療につながるのならそれでも報われる」と。

在宅療養の間に、彼女は53歳の誕生日を迎えた。その日は終始笑顔だった。自宅で二人で過ごす時間が、このまま永遠に続くことを心から願っただろう。精一杯、旦那様に甘えながら。