岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス
今、あちこちにたくさん建ってきている、サービス付き高齢者向け住宅。日常的に第3者の見守りや手助けが必要になった、けれど自宅にはそんな人が居ない、という時の第2の自宅です。医療が必要な場合とそうでない場合があるのですが、入所する方々は皆様高齢にて、必要とされることがほとんどです。
彼女も、一見とてもお元気そうでした。下肢筋力は低下していて車椅子移動でしたし、食事の準備、衣類の洗濯や部屋のお掃除はお願いしないといけない状態でした。が、セッティングすれば自力で食事し、排泄もトイレで出来ました。おしゃべり好きで笑わせ上手でした。自ら希望、計画するお出かけもしていました。でも、実は肺がんの末期状態でした。
86歳でがんと診断され、余命がある程度限られても、「寿命みたいなものよね。」と、彼女はいつも前向きでした。まるで自宅にいるように、まるで施設のスタッフが家族みたいに、最期まで彼女らしく過ごされたと思います。しんどかったのは、最後の2週間くらい。入所後1年が経過していました。食べられなくなって点滴が続いていても、思うように身体が動かせなくなって介助に頼らざるを得なくなっても、「ありがとうね」の言葉を忘れない人でした。
静かな、眠るようなお最期、勤務オフでも駆けつけたスタッフ達が周りで涙を浮かべる様子から、愛されていた人だなと実感しました。施設でのお看取りも、そう悪くありません。