岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス
2年半前子宮体癌と診断を受け、子宮も卵巣も大腸の一部まで切除した彼女は、まだ36才。結婚して家を建てたばかり、子供はいなかった。もう子供は望めなかった。半年後に残存した組織に再発、腹腔鏡下に切除して、外来で抗がん剤治療を続けた。
1年前「もうこれ以上治療を続けてもがんの根治はない」と判断され、対症療法で療養するため在宅診療を選んだ。家で旦那さんとゆっくり過ごしたかったんだと思う。
歩行は少し不安定、食欲や摂食量が少しは落ちていたが、それでも旦那さんや実妹が日常のことはよく手伝ってくれ、それなりにゆったりと過ごせていた。体調の良い時にはいろんなところに連れて出てもらった。手芸が趣味で、素敵なかわいい生地を買い込んでは、猫ちゃんや赤ちゃんのスタイ(前掛け)をたくさんデザインして作った。メルカリに出したりして楽しんでいた。
このまま数年生きていられるのかも、と錯覚させてくれるくらい元気な時間があったけれど、1年も経たないうちに、死は容赦なく訪れた。腹腔内はがん転移だらけで直腸からの出血が止まらなくなったのだ。亡くなる前日まで会話出来た。息もしんどそうなのに、「大丈夫」「少し楽」と言って無理に笑ってみせる。無愛想に見えて、気を配ってくれる子だった。自分より若い命、無性に悔しかった。