医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その25平成27年4月18日

73歳の彼は、3年前に脳出血を起こし、右半身麻痺の状態。リハビリのために療養型病院に入院していたが、筋力低下、関節拘縮は進むばかりで、寝たきりの生活となっていた。熱を出した機会に胸部レントゲン写真を撮ったところ、肺癌である事が判明した。それも左主気管支をほぼ閉塞するほど大きく、おそらく、心肺機能は今後かなり早くに低下するであろうと考えられた。

「残された時間を、病院ではなく家で過ごさせてあげたい」そう願っても、会社勤めの息子さん、仕事を持つ娘さんにとってはかなわぬ現実だった。でも、「サービス付き高齢者住宅が第2の我が家になれば」「ホームヘルパーの代わりに施設の介護職員がお世話して下されば」、在宅診療で管理してもらいながら、日々の生活の中で人生の締めくくりを迎えられるかもしれない。彼らの願いを、是非かなえたかった。

脳出血後であり、長い入院生活後であり、認知機能の低下もみられた。入所初日は痛い、怖いとしかめっ面をして、散々コールボタンを押して職員を困らせた。翌日には、介助してもらいながら入浴して、食事も出来た。飲み物をリクエストしたり、看護師に手を差し伸ばしてきたりした。穏やかな表情だった。

痰は切れにくく、いつも絡んでいた。息するのさえ辛そうにして、8日後に興奮状態となった。本人も家族も納得の上、鎮静剤を使ってうとうとさせた。呼べば頷くくらいのまま、少しずつ呼吸機能が落ちていった。髭を剃ったり、足をマッサージしたり、子供達は寄り添って過ごした。たった10日間の第2の家の暮らしだった。