医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その26

サービス付き高齢者向け住宅に入ってくる方は認知機能が低下していることが多いなかで、彼はまだ73歳、自分の生活パターンがしっかりあって、自分の病気についてもよく解っていた。1年半前から左尿管がんに冒されていること、左腎尿管全摘出術に続き、膀胱全摘術、右尿管皮膚瘻造設術を受け、さらに陰茎切断術まで受けたこと、これからさらに遠隔転移の恐れがあること、全部知らされていた。

見た目には何処が悪いのだろうと思えるほど元気で、体格も良かった。裸を診ると、腹部は術痕多数、尿管皮膚瘻を受けるパウチが貼ってあった。パウチに溜まるのがオシッコ(液体)なので、時々隙間から漏れてしまうのが、悩みの種だ。施設内で閉じこもっていると息が詰まる、とよく自転車で出掛けていた。「岸和田の街をパトロールしてるみたいなもんや。」日に焼けて精悍に見えた。途中で買い物に寄ってお菓子を買うことを覚えた。みるみる太っていき糖尿病が悪化した。食事制限、お菓子制限した。運動やリハビリをしたいとデイケアにも通った。

療養は順調に見えたが、病魔は確実に彼の身体を蝕んでいった。痛みが出てきて麻薬を開始した。不安で眠れない日は睡眠薬で眠った。熱を出したり吐くようになった。身体が怠く、「点滴した後だけ楽になる」と言った。

お看取りは病院でだった。入院して10日目だった。がんを診ていた主治医が突然入院させた。自分の部屋で死にたいと言っていたのに、知らなかったのかな。