医療法人葵会にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その2平成25年2月9日

透き通るような肌の美人さん、38歳で中高校生の娘さん2人を女手ひとつで育てていました。4年前、膣癌に冒されました。私が出会った時にはもう骨盤腔内は腫瘍でいっぱいで、神経やリンパ節にも浸潤し、右足は思うように動かずパンパンに腫れていました。

悪心が止まらず動けば吐く、起き上がろうとすると身体が思うように動かず転倒してしまう。それでも根気よく、マッサージや投薬、点滴などで、少しずつ改善していきました。束の間の安楽とはいえ、車椅子を使ってランチに出掛けたり、美術館に行ったりできるようになりました。

完治は望めないと頭で解っていても、何か奇跡を起こす治療法があるのではないか、免疫療法、血管内治療など保険の効かない危険な療法でも、高額を払ってでも、可能性があるのなら…と、彼女は探していました。でも、私は反対しました。身体に悪影響が出た時に後悔するからと。それを聞いて断りに行った先で「キャンセルは半額払って下さい」と言われ、治療を受けて帰って来たのです。

その日から病状は急転下。全く食事を受け付けなくなり、再び身体は浮腫み、下半身のいたる所が痛みました。その後たった2週間で亡くなりました。彼女は精一杯生きました。残っている時間は短かったです。でも、肌がボロボロと欠けていく最期は彼女の本望ではなかったでしょう。