医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その6平成25年7月8日

「私ね、あの時母を病院に入れなかったら良かった、と今でも思っているのよ‥。」彼女と再会した時の最初の言葉。「私は、家で死なせてね。」と。

8年前、同じ胃癌で、実のお母様を在宅ホスピスで診ていた。家業の忙しい彼女は、最期の“もう何日もないだろう”という時期に、病院に入れると言い出した。「ずっとは傍に居てやれない。その間に死を迎えたら可哀想だから」という理由だった。入院してまもなく、結局おひとりで亡くなったそうだ。病院は面会時間やアクセスの問題があって、家人の誰かが傍に居る、最期の時をみんなで見守ることが難しい。

65歳とまだ若い彼女は、食べられない、しんどいという訴えはあったが、屋内なら自分で動けた。身の周りの簡単な事は自分でしようと心がけていた。夫は初め、「僕は何もようせんから、寝付いたら入院や。」と言っていた。でも、家で療養出来ることを本当に喜んでいる彼女を、家業の傍らにしょっちゅうのぞきに来られる状況に、いつしか彼女の気持ちに応えてやろうと思うようになっていった。食事の介助や着替え、寝具の交換、下の世話まで頑張っていた。

夫に疲れが見えることを労い、「あと1週間くらいよ、頑張って」と、発破をかけていた彼女。泣いてばかりいる夫に、「お父さんを残していくことが何よりも心配」と微笑んでいた彼女。愛する人の腕の中で、人生の終わりを迎えられたことが、彼女の何よりの誇りだ。