医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その7平成25年7月20日

82歳にもなる彼女は、上品で美しく、賢い方でした。ご自分がC型肝炎ウイルスに感染している事もよくご存知でした。在宅診療に切り替える理由は、足腰が弱って肝庇護剤の注射のために週3日も通院できないから、というもので、それについては十分に納得されていました。私たち医療スタッフが訪問することの労をいつも労って下さいました。

もうひとつ、彼女の生活を妨げていた腰痛も、仙骨硬膜外ブロックを何度か施行し緩和していきました。「体調が良いので、頻回に来て頂かなくて結構よ。」と、一時期は仰るほどでした。

本当にただの慢性肝炎に留まってくれていたならば、しんどさもやがては緩和されていくはずでした。しかし、自分の病気がそうカンタンではないと、彼女が気付き始めるのに時間はかかりませんでした。既に肝硬変となり、肝癌が多発し腹腔内に転移していました。肝性昏睡に陥ったり、腹痛や癌性腹水による腹部膨満感に悩まされたり、便秘下痢を繰り返したり…。そうして段々と体力が低下していきました。

病状の悪化から医療に不信感を持ち始めた頃、医師である娘様が病状を話す覚悟をされました。芯の強い彼女は、その日から一切自ら食事を摂らなくなりました。ご自分の中で葛藤があったのでしょう。声かけには頷き、口に運ぶフルーツは拒否なさいませんでした。「とにかく眠らせて頂戴。」点滴を続けながら、少しずつ意識が遠のいていきました。潔いお最期でした。