医療法人にしだJクリニック

岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY2

その14平成26年4月10日

まだ75歳だったからかもしれない。独居で、肺癌になってしまって、通院加療は受けたものの、完治は難しい事がハッキリしてきた。手足の自由が効かなくなって、何をするにも第3者の助けが必要という状態でも、彼女は家に帰りたがった。失礼ながら、決して豪邸ではなかったけれど、きっと彼女にとっては、一番居心地の良い場所だったのだろう。

いわゆる彼氏がちゃんと居て、仕事帰りには必ず家に寄ってくれていた。彼は四六時中世話をしてやる余裕も、気持ちもないようだった。が、だからといって、彼女が在宅療養を諦めるなんて気持ちもさらさらなくて、「風の吹くまま、気の向くまま」と、誰彼が用意してくれた食事を食べ、誰彼がやってくれた洗濯物をふんだんに使って、悠々自適、余裕綽々の生活だった。もちろん、何にも食べものがない、着替えも間に合わないなんてこともザラにあったのだけど。やがて、善意で行われていたそれはヘルパーさんや看護師さんの仕事になり、生活が確立されていった。彼女は安心してた。

痛い病状には麻薬が効いて、ゴロゴロには去痰薬も効いて、ちょっと元気になったら、一口大に切ってもらったフルーツを口に放り込んでいた姿を思い出す。訪問入浴の後「気持ち良かったぁ~」とあはははと笑った顔を思い出す。自分の思い通りに生き抜いた、彼女のような最期が私の理想。