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岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

ココロの矛盾平成24年8月6日

kokoronomujun

62歳の彼女は、3年前に治ったはずの直腸癌の再発を告げられました。腹膜に播種(小さな癌がばらまかれてしまっている状態)しており、もうこれ以上の抗癌治療は身体に負担をかけるばかり、と在宅ホスピスに紹介されてきました。

無念なのは、彼女よりも彼女の旦那様と娘様で、今の病状をどうしても受け入れられず、新しい治療法を探して奔走されていました。「残りの時間を少しでも安寧に有意義に生き抜くこと」を目標にしようと提案しますが、「あきらめない」「どうしてでも生きていて欲しい」を繰り返すのでした。

彼女自身は「何も美味しくないし、しんどくて何も出来ないわ。」「こんな時間は短い方がいい。早くお迎えが来て欲しい。」「もう何にもしないで。」と諦めていました。でも、伏せってばかりいると当然ながら倦怠感は強くなり、ますます食べられなくなり、入浴さえ重介助になりました。“気持ちを切り替えて「あきらめない」という娘様の気持ちに応えようよ”と話しました。起きて過ごそう。笑って過ごそう。きっと元気な時間がもらえて、きっといい事が起こるよ。

好きもものだけでも食べようと頑張り、車いすに移乗して散歩や買い物に出ました。ほんの短い時間でした。でも家族で過ごした大切な時間でした。お互いを大切に思う気持ちを確かめ合うような時間でした。

「生きていたい」という思いと、必ずやってくる死は、矛盾を生みます。その矛盾に痛みが生じます。身体の痛みよりもずっと痛い、この痛みに寄り添うことで、何かが見つかるのかもしれません。