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岸和田市|内科・ペインクリニック・リハビリテーション科・訪問診療・訪問看護・在宅ホスピス

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DIARY

終末の意志平成24年1月11日

syumatunoishi

この「ホスピス日誌を愛読しているのよ」、そして「いつか私も、先生にお世話になろうと思っていたの」と、こともなげに自分が乳癌の末期状態であることを、彼女は告げた。病院からのご紹介が大多数の中で、歩いてきて外来の一コマで在宅ホスピスを申し込む人はそう多くない。

彼女は75歳。約10年前、広島で右乳癌の切除術を受けた。8年後再発。あんなに気を付けていたのに再発。それから岸和田に転居してきても抗癌剤治療を続けていたが、効かなくなってしまった。

初めの1年は、毎月しっかり歩いて受診に来られた。肺に転移巣があり胸水が増減し、胸水を抜くか否かで議論。転倒して右手首を骨折し救急搬送された。搬送された病院から麻酔を怖がっていますと連絡あり、麻酔に耐えられるか否かで議論。胸部痛があり、癌性の痛みか狭心痛か、はたまた肋間神経痛かで議論。とことんまで話さないと納得のいかない彼女は、どんな形で人生に幕を引こうかと暗中模索していたのだろう。

夏が近づいて誰もが暑さに食欲が落ちる頃、ほとんど食べられない、歩けないと、いよいよ在宅ホスピス開始となった。少しでも病状が楽なように投薬や点滴を勧めても、彼女はほとんど応じなかった。消え入るように、穏やかに、死を選んでいた。夫にお礼を言うだけにしては長い、結局それから6ヶ月療養して、この世を去っていった。